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プレイング置き場兼設定語り、小ネタ、小説を垂れ流す場所。
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2024/11/22 (Fri)
舞うは、散るは、桜か焔か。
堂々たる風格の影の獣の周囲を彩るは紅蓮の焔。
操る少女はどこか懐かしげに眼を細め――

「     」

何事か呟いて、ただ笑う。
出会い、そして別れた場所。
生者と死者を模した影との、1年越しの邂逅。


『5月28日、桜に添えて』


「変わってねぇなぁ……まぁ、1年経ったくらいじゃ変わんねぇか。」

ちょうど1年前、依頼で訪れた場所。
1年後の今日同じ日にわざわざ訪れたのは、言ってしまえばただの気紛れ。
たまたま同じ時期に花見をしたからちょっと思い出して、行ってみようという気になっただけ……と言うことにしとこう。
実際は思い出すも何も、忘れた事はなかったのだけれど。

あのイフリートは俺にとっては、戦争以外で初めてまともに相手をしたダークネスだった。
そして、なんとなくずっと心に引っ掛かり続けてきた奴でもあった。
特に……自分の中のダークネスが時折騒ぎ出すようになったあの日から……知りたいことがあった。

何を考えていたのか――
どうして此処にいたのか――
本当に、桜が好きだったのか――

此処での出来事を思い返すたびに、浮かぶ疑問。
考えたところで、もう二度と答えは見つからない疑問。
……答えを持った本人は、すでに灼滅されてこの世にいないから。
それでもそこに何かの答えがある気がして、答えじゃなくても切っ掛けがある気がして……どうしても、知りたかった。
そうして作り上げたのはそのイフリートに似せる形で作る影の獣。
とは言え、何も分かりゃしなかったけれど。

「……ま、分かっちゃいるんだけどさ。例え知ることが出来たって……それは多分、俺が知りたい答えには繋がらないんだって。」

俺が知るべきなのはあの焔の獣ではなく、俺の中のダークネスのことだから。
どれだけ必死にそこの答えを求めたところで、結局同じ存在でない以上きっと抱えてるものは別物だ。
分かってる、分かってた。それでも、じっとしていたくはなかった。
動いてる実感がほしくて追ってみていただけなんだって事も、本当は分かってたんだ。
だからいい加減、区切りがほしかった。

「……さ、思う存分花見しとけよ。」

慣れたもので生み出された影の獣はあの日見たイフリートの姿と違わず。
強いて言うなら、纏わせた焔の色があの日と異なる程度だろうか。
暴れるでもなく静かに桜を眺めるそれに倣って、自分も適当に座って桜を見上げる。

舞い散る桜は去年見たものと変わりはなく。
けれど、抱く思いは別物で。
変化の原因は、この場所でも件のイフリートでも何でもなく、俺自身の心境の変化なのだけれど。

思えばこの1年、色んな事があった。
そもそも今しょっちゅう顔合わせてわいわいやってる奴らの中には、たった1年前には顔見知りですらなかった連中も多いのだ。
里桜とだってまだ特に仲が良かったわけでもなかったし、ツクとは……そもそも何て呼んでた頃だっけっていう。
そいや出会って1年ちょいだってのに呼び名2回も変わってんだな……練習してようやく言えたような1人称も今では慣れたっけ。
あぁあとあれもこれもと思い出されて、感慨に耽るなんてらしくねぇなとふと我に返る。
いや、らしくないと言えばそもそも1年前の俺が今の俺の話聞いたららしくないと言われそうなものだけれど。

実のところ、誰かを護る戦いなんてする気がなかった。
戦えればそれでよくて、最悪それで死んだって構わないと思ってた。
……何と言うか……あぁ、認めるさ、認めるよ。
それなんてアンブレイカブルだよって、自分でも今にして思うさ。
実は学園来ないまま過ごし続けてたら依頼で助けられてる奴らみたいに堕ちてたんじゃね、って自分でも思う。
まぁ、前に此処に来た時はすでにちょっと考え変わり始めた頃ではあったけど……。

変わらないものだってある。
でも、変わったものもある。
少なくとも、変わってよかったと、俺自身はそう思ってる。
……まぁ、変われたのは自分で変わったって言うより……皆のおかげなんだって、そう思うけど。

ふと気付けば桜を見ていたはずの影の獣が此方を見ていて……あぁ、ある意味こいつのおかげの部分もあるのだよなと思いだす。
答えが出なかったとしても……考えたこと自体は無駄ではなかったと思うから。
と言うか、無駄にしなければいいんだと思うから。

「ありがとう」

呟いた言葉を届けたいのは、本当は既にいない相手にだけれど。
呟くと同時に、影の獣の周囲にあった桜の花びらが燃えたから、ついでに届いてくれればいいと願って。

……たった1年、されど1年。
1年後の自分はどうしているのだろうか。
誰よりも大切な人に、親友に、大事な友人達に、誇れる自分でいれるだろうか。

……だろうかなんて、それこそらしくないか。
いれるように全力で生きる、出来るのはただそれだけなんだから。
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2014/06/10 (Tue) 小説 Comment(0)
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